蚊 VR
頭のまわりを飛ぶ蚊を、研究論文の飛行データと羽音の物理で再現します。
Quest 3 のブラウザで開くと押せます。設定をいじらなくても、そのまま遊べます。
設定
確認中…
Quest がなくても PC 用プレビュー で飛び方を外から観察できます (音はヘッドホン推奨)。
耳元に来ると急に大きな音になります。最初は音量を小さめに。蚊を叩くときは、コントローラーを頭にぶつけないよう、耳の横で素早く動かすだけにしてください (触れなくても 6cm 以内なら当たり判定になります)。
ゲーム: 蚊を撃ち落とせ
前半のウェーブは使える道具が決まっています (WAVE 1〜3 はハエたたきのみ、4〜6 はレーザー銃のみ)。使えない道具は棚から消えます。ウェーブごとに蚊が増えていきます。寝室では左右 2 か所の窓が開いて、蚊が 1 匹ずつどちらかから入り、全部入ると窓が閉まります。ジャングルと湿地では暗い茂みや水面から湧いてきます (MR では部屋のあちこちから現れます)。羽音をたよりに見つけて、撃つ・斬る・撒く・叩く。全滅させると WAVE CLEAR。結果が出たら目の前の板で「次のウェーブへ」か「やめてメニューへ戻る」を選びます (勝手には進みません)。刺されるたびに血が減り、尽きたら終わりのエンドレスです。設定メニューの「始めるウェーブ」で、後半から始めることもできます。
4 つの道具は体の下に薄く並んでいます。中指のグリップを握ると、置いてある物と今持っている物が黄色く光ります。光っている物に手を触れると、その場で持ち替わります。左右どちらの手でも、どの道具でも持てます (銃を右・ライトセーバーを左、のような組み合わせも作れます)。ハエたたきは速く振って当てたときだけ撃墜で、遅いと落とせず蚊を弾き飛ばすだけです。素手で触れても落ちません。
| 右手のトリガー | 撃つ (長押しで連射) / スプレーを噴く (長押し) / セーバーは振るだけで斬れる |
|---|---|
| グリップ (中指) | 体の前の棚から道具を取る / 戻す。1 回押すと持てる (押しっぱなしは不要)。どちらの手でも取れる |
| B / Y | 設定メニューを顔の前に出す / しまう。武器・蚊の大きさ・当たり判定・情報パネル・音・見た目まで、設定はここに全部ある。開いているあいだは一時停止。手から線が出るので、指してトリガーで選ぶ。項目の外で引き金を引いても閉じる |
| 終了してメニューへ戻る | 設定メニューの「全体」ページのいちばん下から |
| 左手 | ハエたたき。速く振って当てれば撃墜、遅いと弾き飛ばすだけ |
| 左手のトリガー | 開始・やり直し |
| A / X | 開始・やり直し |
観察モードの操作
| A | 蚊を追加 (最大 5 匹)。VR では右の窓が開いて入ってくる |
|---|---|
| B | 見た目の大きさ: 実寸 → 3 倍 → 10 倍 (音と飛び方は変わらない) |
| X | 時間: 等速 → 1/10 → 1/100。1/100 なら羽ばたきが目で追えます |
| Y | 飛跡の線・息の跡 (水色の点)・情報パネルの表示切替 |
| 手・コントローラー | 素早く当てると撃墜。じっと差し出すと止まりに来ることがあります |
| 頭を振る | 止まっている蚊が飛び立つ |
ハンドトラッキング時は、ピンチで蚊を追加します。
再現している科学
| 羽音の高さ | 雌の羽ばたき周波数。アカイエカ 415 Hz (近縁のネッタイイエカで代用)、ヒトスジシマカ 530 Hz (実測 499〜567 Hz)。室温 1 °C につき +10 Hz。飛行中に ±1.5% ゆらぎ、吸血後は 7% / 26% 高くなる1,2,3 |
|---|---|
| 音色 | 基本音と、その正確な整数倍の倍音 (第 6 倍音まで)4 |
| 耳元の音 | 羽ばたきは前後方向に強い双極子音源。約 15 cm より近いと音の大きさが距離の 2.3 乗に反比例して急に増える4,13。左右の耳それぞれまでの距離で音量を計算するので、片耳にだけ近づく感覚が出る (近距離 HRTF の距離補正6) |
| 吐いた息 | 呼吸は毎分約 10 回。鼻から吐く息は約 1.3 m/s・水平から 57° 下向きに出て、約 0.4 m で勢いを失う18。体の熱による上昇気流 (頭上約 0.4 m で 0.2〜0.3 m/s) に乗って頭上へ昇り、天井付近にたまる19,20 |
| 部屋の空気 | ふつうの部屋の風は 0.2 m/s 未満と弱く21、強さの 25〜50% ほどが決まった周期なく揺らぐ22。人のすぐそばでは体の上昇気流が空気の流れの主役になる20 |
| 探索と接近 | 人の位置は知らないので、部屋の中を向きの相関時間 約 1.3 s でふらふら飛ぶ。CO2 の中に入ると、その場の空気の流れの風上へ直進し、息から出ても 0.5 s ほどは直進を続け、その後は左右・上下にジグザグして探す (上下は左右の約 1.75 倍の頻度)5,7。人の真上では上昇気流に逆らって頭の方へ降りてくるが、それ以外では風が弱く不規則なので方向の手がかりは乏しい |
| 感覚の届く距離 | 体の赤外線は約 70 cm16、肌から立ちのぼる熱と湿気は 10〜20 cm8まで。CO2 を感じている間だけ近くの人影にも引かれる8。人が離れて体温が届かなくなると見失い、最後にいた方へジグザグしながら息の跡を探し直す |
| 曲がり方 | なめらかに曲がり続けるのではなく、「直進 → 素早いターン」を 0.04〜0.46 s ごとに繰り返す17 |
| 頭のまわり | CO2 と視覚の手がかりがそろうと、宿主のまわりを一定の速さで周回する。軌跡の半分は 0.2 m 以内。人を相手にすると主に頭を狙う5。体温に引かれて肌から約 3 cm でホバリングする8 |
| 着地 | 接触の 3〜4 cm 手前 (約 0.12 s) から減速。0.4 s 未満で当たり直す「バウンス」と、大きく曲がって出直す「ビジット」を繰り返し、着地するのは約半分9,10。止まると羽音が消える |
| 手からの回避 | 高速で逃げるのは 14〜25% だけで、多くは横へ 8〜12 cm かわす。夜行性の蚊は 16% 鋭く曲がり 16% 遅い11。止まっている蚊が刺激で飛び立つのは約 52%、遅れは 0〜0.5 s12 |
| 姿 | 翅の長さ 3.3 mm / 2.9 mm、打ち幅 50°13,14。ヒトスジシマカは黒地に胸の白い縦すじ 1 本、脚の白い帯、白いひげ先15 |
| スズメバチ: 何に反応するか | 人を餌とは見ていない。黒に対する防衛行動が最も強く長く、次いで茶。毛の質感より色 (暗さ) に敏感で、会話や大音量の音楽には有意な反応なし23。巣から 3 m 以内で防衛行動が始まり、腕を大きく振ると攻撃率が上がる。ゆっくり下がっても 5 m までは攻撃個体数が減らない24 |
| スズメバチ: 攻撃の手順 | 警戒 → 羽音を最大にして旋回し大顎を鳴らす → 目の前でホバリング (攻撃直前の相手確認) → 突進。ただしこの順番は時間では進まない。次に進むか引くかは、そのとき相手が動いているかで決まる24ので、動きを止めれば威嚇だけで終わり、振り回せば来る。針に返しがないので何度でも刺し、そのまま肌にとまって刺し続けることもある。羽ばたきは Vespa crabro 約 100 Hz、V. velutina 100〜120 Hz25で、体長から内挿してキイロスズメバチ 125 Hz、オオスズメバチ 85 Hz とした |
| スズメバチ: 速さ | 野外の追跡では採餌中 6.66 ± 2.31 m/s、獲物を抱えた帰巣中 4.06 ± 1.34 m/s、拘束下の実験では 1.6 m/s26。4 倍食い違うので、部屋の中は 1.5〜2.5 m/s、突進だけ 4〜6 m/s とした |
| スズメバチ: 刺し方 |
刺し方は 2 通りある。かすめ刺しは飛んだまま腹を曲げて浅く刺し、すぐ離れる。かわす余地はない。組みつき刺しは脚の爪でしがみつき、大顎で噛んで固定してから深く刺し、同じ場所を繰り返す。防衛行動の実験では、標的の毛が「爪でしがみつく支持を与え、連続した刺傷を促進する」と報告されている23。掴んでから 1 発目までは間があるので、そこで払えば 1 発も刺されない (秒数は実測が無いので【推定】)。
繰り返し刺せるのは針の返しが 1〜7 本と少なく自切しないため37。ミツバチは返しが 10〜11 本あって刺すと針ごと千切れるので 1 回きりで、「とまって連続で刺す」という戦術がそもそも選べない。
ここだけは実物と変えている: 突進は正面 180 度からしか始めない。まとわりつきや威嚇では背後にも回るが、刺しに入るときは必ず見える位置から来る。実物にこの制限はなく、見えないところから刺されると何が起きたか分からないため置いた遊びの決めごと |
| スズメバチ: 音 | 巣門で録ったホバリング音の実測では、基本波 100〜120 Hz が 96%、第 2 倍音 200〜250 Hz が 96%、第 3 倍音 320〜350 Hz が 76% に出て、1500 Hz 以上に有意な成分はない35。羽音はこの倍音列で組み、翅が空気をかき混ぜる広帯域の雑音を倍音のあいだに薄く混ぜている (雑音の量は実測が無いので【推定】)。ハチ類の個体差の研究では、基本波が第 2 倍音より強いのは 8〜9 割の時間で、残りは第 2 倍音の方が強い。 威嚇の大顎音は音響の実測が見つからなかった。いちばん近い仕組みの実測はガ幼虫の大顎クリックで、純音ではない広帯域・ピーク 13.8 ± 7.7 kHz・−12 dB 帯域幅 26.9 kHz36。スズメバチの大顎はそれより大きいので共鳴は低い側に寄ると置き、1 発を数ミリ秒の広帯域の打撃音として作った【推定】 |
| スズメバチ: 見た目 | 形は飛翔写真から起こしている。体長の割り振りは 頭 0.2 / 胸 0.3 / 腹 0.5 で、胸は短くずんぐりし、頭は胸と同じくらい大きい。複眼は顔の側面を覆う大きな C 字で、顔の下半分は明るい頭楯。腹は節を並べた形ではなく、なめらかな一本の紡錘に縞を塗ってある。飛んでいるときの脚は横に張り出さず、前脚を頭の下へ畳み、中脚を垂らし、後脚を腹の下へ流す |
| スズメバチ: 引き際と個体差 | 守衛の威嚇は多くが空威嚇で終わり、突っかけては戻る。ゆっくり下がっても攻撃個体数は減らないが、素早く離れれば振り切れる24ので、距離ではなく「遠ざかる速さ」で気が削がれるようにした。1 匹ずつ攻めの型が違い (執拗 / 一撃離脱 / 威嚇屋)、狙う部位も耳・首・頬・うなじから毎回選び直すので、同じ突進は続かない。空威嚇の割合と型の配分は【推定】 |
| スズメバチ: 警報フェロモン | 潰されると毒の揮発成分が警報物質になり、用量依存に攻撃を増やす。ただし各攻撃は互いに独立で、試験中に攻撃率は時間とともには増えない27。そのため効果は一段だけ加算し、雪だるま式にはしていない |
| 蛾: 灯りに集まる仕組み | 光へ引き寄せられているのではなく、背中を明るい方へ向ける姿勢反射 (dorsal light response)。 灯りのそばでは背中が光を向くように傾き、結果として光のまわりを回る。真上を通るときは失速し、 越えると背面飛行になって墜ちる。効くのは灯りから数 m の範囲だけ28。短い波長ほどよく集まる29 |
| 蛾: 飛ぶ前の震え | 自分で体温を作る。翅をたたんだまま飛翔筋を震わせ、胸を 35〜40 °C まで温めてから飛び立つ。 大型ほど、また気温が低いほど長くかかる30。体温を自前で作るので、羽ばたきの速さは気温にあまり左右されない。 実際は数十秒かかるが、体験用に 1〜2 秒に短縮している |
| 蛾: 逃げ方 (耳) | 目より耳が利く。遠い・弱い超音波には音源に背を向けて直進して逃げ、近い・強い音には宙返り・きりもみ・ 翅をたたんでの落下といったでたらめな動きになる31。振り抜く武器の風切り音を、この超音波に見立てている |
| 蛾: 羽音と姿 | 翅の鱗粉と胸の毛が超音波を吸う。そのため羽音に澄んだ音程がなく、こすれた雑音を羽ばたきで刻んだ音になる32。 羽ばたき 40〜60 Hz33。静止時はヤガ科らしく屋根形に翅をたたむ。前翅は環状紋と腎状紋、その外側に黒い短剣状紋。 打ち幅は文献にないので、スズメガの 115〜120°34から小さめに見積もった |
| クスサン: 耳のない蛾 | ヤママユガ科は鼓膜器官を科ごと持たない35。カブラヤガに効く「振り抜く音への回避」がまったく効かず、 目で迫るものに気づいたときだけ動く。代わりに鱗粉で超音波を吸う受け身の防御に振っている。 羽ばたきは同科の Antheraea polyphemus が約 10 Hz で、測定された Bombycoidea 10 種のうち最も遅い36。 これを開張のぶん下げて 9 Hz とした。この遅さのおかげで、実時間でも翅そのものが動いて見える唯一の虫になる。 成虫は口器が退化していて何も食べないので、渦巻きの口吻を持たない。静止では翅を開いたまま面に伏せ、後翅の眼状紋が見える |
数値が文献になかったもの (体の傾き、倍音の強さの比、飛行中の反応の遅れ、寝室の風の強さ、息の拡散の速さ、蚊が感じ取れる CO2 の濃さ、風上が分かる最小の風速、吸血時間、スズメバチの温度係数・旋回の鋭さ・威嚇から突進までの時間・大顎の音の速さ・空威嚇やフェイントの割合・肌にとまっている時間・振り切れる速さ、蛾の打ち幅・ひらひらの振れ幅・灯りを離れる確率など) は関連データから推定しています。吸血は実際には数分かかりますが、体験用に数秒に短縮しています。
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